大柳生地区は奈良市の水源地であり、これまでの調査でも豊かな自然が残る生物多様性地域として認められています。この豊かな自然の保全と活用を行うために、奈良市青少年野外活動センターを拠点にした自然環境学習の場として、近隣の里山や自然観察エリア(ビオトープ)の整備を行ってきました。
2015年からは、専門家と共同することで、より科学的な知見のもと、その周辺エリアの荒廃地の自然再生に取り組んでいます。
【再生した湿地にフクロウあらわる!】
2020.01.5~6日、奈良市大柳生地区の自然再生サイトで野鳥モニタリングを行ないました。
今回は山科鳥類研究所認定・鳥類標識調査員の古園由香氏のご協力により実施できました。結果、奈良県希少種のフクロウ、アオジ、アオバト、アオゲラを含む26種類を確認できました。うち、フクロウとミソサザイは再生湿地内で確認され、鳥類にも自然再生の効果が出つつあることが分かりました。また、エナガ、カワラヒワ、ルリビタキなどの種は、湿地内に残されたヤブを利用し、湿地周囲の森林とヤブの間を行き来していました。一方、特定外来生物のソウシチョウが確認されました。
鳥類調査は今回で4回目となり、これまでに44種類(うち奈良県レッドリスト11種)が確認されました。とはいえ繁殖期や渡り期の調査頻度が不十分であることからモニタリングを継続し、特に湿地を利用する鳥類や外来生物のソウシチョウについて注視し、植生の管理方針に反映させていきます。
(文責:自然再生と自然保護区の基金)